さて、前回は、西洋哲学では、
実は「生きる意味」は分からないということを
ご理解頂けたと思いますが、
次に、大学の授業では哲学よりずっと人気があった(笑)
心理学ではどうか見てみましょう。
心理学者といえば、人間の心の専門家です。
苦しみ悩むのは心ですから、
心理療法によって苦悩を解決し、
生きる意味に満ちた人生にしてくれるのではないでしょうか?
はたして生きる意味が分かるのか、
有名な心理学者に聞いてみましょう。
●ジークムント・フロイト
心理学者といえばまず思い浮かぶのがこの人、
精神分析の創始者、フロイトです。
「フロイトさん、人生の目的は何ですか?」
これまでに何度となく人生の目的に対する問いが
問われてきたが、まだ満足できる回答を示した人はいない。(フロイト)
残念、フロイトも、人生の目的に関心を持ってはいたようですが、
やはり分からなかったようです。
●アルフレッド・アドラー
フロイトと並び称され、
「アドラー心理学(個人心理学)」を
創始した心理学者アルフレッド・アドラーは、
『人生の意味の心理学』という本を著しました。
名前からしてそのものずばりですが、どうなのでしょうか。
読んでみると、なんとわずか3頁で
絶対的な人生の意味を持っている者は誰もいない。
(アドラー『人生の意味の心理学』)
と、はやくも人生の意味を正面から明らかにすることを
断念しています(笑)
●ヴィクトール・フランクル
ところが、このフロイトとアドラーの2人に学び、
人生に意味を見いだす「ロゴセラピー」を創始した
ヴィクトール・フランクルは
「人生には無条件で意味がある」と唱えています。
この人は、アウシュビッツを捕虜として経験して書いた
『夜と霧』という本でも知られています。
フランクルの提唱する意味は、
「やり残した仕事」か、
「あなたを待っている誰か」
の2つです。
「えっ!?じゃあ私の生きる意味は何ですか?」
と聞くと、さしものフランクルも、こう言います。
ロゴセラピストといえども患者に、その意味が
いったい何であるのかを告げることはできない。
(フランクル『生きる意味を求めて』)
分かりやすくいうと、
「でもやっぱり分からないや」
ということみたいです(笑)
■ミハイ・チクセントミハイ
もっと最近の有名な心理学者にも聞いてみましょう。
ハンガリー出身のアメリカの心理学者、チクセントミハイは、
時間を忘れて物事に熱中 する、フローの概念を提唱しました。
ところが、それによって一時的には意味を感じられても、
人生全体としては、何に熱中 すれば意味があるのかは分かりません。
我々に「ここに君が人生を捧げるに値する目標がある」
などと教える者はどこかにいるというわけではない。
(チクセントミハイ『フロー体験 喜びの現象学』)
このような、もっとも著名な心理学者たちでさえ、
生きる意味は分からないのです。
ちなみにフランクルは、
人が生きる最終目的も分からないと
またまた嘆いています。
人間はいかなる「最終目的」を彼の生命がもち、
いかなる「超意味」を世界全体がもっているかを
どうして知ることができようか。(フランクル『死と愛』)
できますよ。
本当の生きる目的を、
仏教では2600年前から明らかにされていますので。
心理学者も哲学者も分からない本当の生きる目的を、
あなたはぜひ知って頂きたいと思います。