7月下旬に、京都で安楽死させた医師が
逮捕される事件が起きました。

それに伴って、私も、
仏教ではどんなに苦しくても生きてかなければならないのか
というご質問を頂きました。

また以前から、
安楽死がいいのか悪いのか分からないとか、
悪いと思い切れないという方もあります。

そこで、今回、安楽死の是非についての回答を
ビデオに撮りました。

そのご案内の前に、
ビデオでは話していないことで、
安楽死について公平に考える時には
知っておいたほうがいいことがあります。

それは、安楽死を日本でも認めていこうと
している人たちの存在です。

例えば、これはあまり一般には知られていないのですが、
2014年に、政府は胃ろう造設術の報酬を引き下げて、
年間件数が一定をこえるとペナルティを科すようになりました。

胃ろうというのは、胃に直接栄養を注入する方法で、
ちょっと聞いたことのある人は、
あまりいいイメージをお持ちでないかもしれませんが、
実は非常にすぐれた延命法です。

例えば点滴で栄養を入れていると2年くらい生きられるところ、
胃ろうなら5年くらい生きられます。
また、費用も安く、鼻や喉に管を通さないため違和感が少なく、
入浴もでき、対応している老人ホームにも入れるなど、
メリットがたくさんあります。

そんな優れた延命法なのに、
なぜ彼らは、一般の人にあまり知らせずに
制限をかけるのかというと、
関係者はみんな分かっていることなんですが、
医療経済が赤字だからです。

分かりやすくいうとお金のためです。

しかし、それによって
本当は生きる意味を知ることができた人から
そのチャンスを奪ってしまうなら、
言語道断のことです。

推進派の人たちとしても、
安楽死という言葉を使うと、
まだ世論の反対が大きいので、
胃ろうのような、あまり注目されていないところから
じわじわと進めているということです。

すでに1991年の裁判所の判例では
安楽死が認められる4要件があげられているんですが、
2019年にNHKが、「彼女は安楽死を選んだ」という
スイスで安楽死を行った日本人女性についての
NHKスペシャルを放送したところ、多くの批判が沸き起こったので、
日本での安楽死の法整備はまだ先になると思います。

そのため安楽死推進派の人たちは、
これまでの「安楽死」という言葉遣いから、
「治療の差し控え」とか、
「医療的幇助自殺」のように、
言い換えたりしています。

そういう推進派の考え方も、
彼らは本当の生きる目的を知らないわけですし、
本人が希望していて、お金もないとなれば
確かに理解できる面はあると思います。

しかしながら、本当の生きる意味を知っている私たちにとっては
死んだら生きる目的を果たせなくなりますし、
そもそも知らない人はそれを知ることもできませんから、
安楽死という選択肢はとんでもないことです。

仏教では安楽死についてどう教えられているのか、
ビデオに撮りましたので、
その回答をよく知っておいてください。