それでは今回は、仏教が西洋に与えたインパクトです。
仏教とは、約2600年前、インドで活躍なされた
お釈迦さまが、35歳で仏のさとりを開かれてから、
80歳でお亡くなりになるまでの45年間
説かれた教えをいいます。
お釈迦さまがお亡くなりになった後も、
仏教は、インドから中国、日本へと伝えられ、今日まで、
多くの人々を人間に生まれてよかったという
本当の幸せの身に導いてきました。
▼近代になると、キリスト教文化の中にあった西洋にも、
科学の発展に伴い、このお釈迦さまが説かれた仏教が、
少しずつ伝えられるようになっています。
もちろん翻訳その他の色々の問題もあり、
本当の仏教の教えは分からなかったようですが、
それでも近代になってはじめて仏教の片鱗にふれ、
そのすばらしさに驚く
西洋の知識人たちの声が聞こえてきます。
●例えば19世紀の有名な哲学者
ショーペンハウアーは、仏教について

その内的卓越性と内的真理ゆえに、あらゆるもののなかの
第一等とみなされるべきである。(『自然における意志について』)

と言っています。
「神は死んだ」と宣告したドイツの哲学者、
ニーチェは次のように言っています。

仏教はキリスト教に比べれば、100倍くらい現実的です。
仏教は、歴史的に見て、ただ一つのきちんと論理的に
ものを考える宗教と言っていいでしょう。(ニーチェ)

●イギリスの著名な作家であり、歴史家としても
世界の文化史を全12巻を著したHGウエルズは、
仏教は、現代の思想と調和する、世界史上
もっとも深遠な教えであることに
比較的早い段階で気づいています。

仏教の根本教義は、その源泉なる原文について
研究して見れば明らかなる如く、
決して難解渋晦なものではなくて、
いかにも明瞭であり単純であり、
しかして現代思想と完全に調和と密接な適合を示す。
これを世界開びゃく以来最も深遠透徹な智性の人の
創造物と讃嘆することには誰にも異存がない。
(HGウェルズ『世界文化史大系』)

●深層心理を研究し、ユング心理学を打ち立てた
心理学者のユングも、お釈迦さまを
「全世界にとって精神的な先駆者」
と言っています。
●文明の興亡の観点から「歴史の研究」全25巻を著し、
20世紀最大の歴史家の一人といわれる、
アーノルド・トインビーも、仏教の重要性をこのように言っています。

仏教と西洋の出会いは、二十世紀のもっとも有意義な出来事である。
(アーノルド・トインビー)

●20世紀最大の哲学者といわれる
マルティン・ハイデガーは、仏教を知ると、

もし私の理解が正しければ、これは私が
すべての著作の中で言おうと試みたことだ。

と言って、周囲を驚かせています。
しかもハイデガーの場合、「もし私の理解が正しければ」と前置きする所も、
つつましい輝きを放っています。
普通なら仏教を「きっとこんなものだろう」
と自分に理解できる程度に低めてしまう人がほとんどですが、
このような深さもしれない深い教えを、
そう簡単に自分が理解できるはずがないと、
仏教の底知れないすごさすばらしさを
感じ取っていたのでありましょう。
●科学の世界では、現代物理学の一つの柱である相対性理論を
たった一人で構築し、もう一方の量子論の構築にもかかわるなど、
アインシュタインに関係ない現代科学の方向性はないと言われる
20世紀の偉大な科学者アインシュタインも、

仏教は、近代科学と両立可能な唯一の宗教である。

と言い、さらには

現代科学に欠けているものを埋め合わせてくれる
宗教があるとすれば、それは仏教です。(アインシュタイン)

とまで、仏教に大きな期待を寄せています。
 このように、欧米の知識人たちからたたえられ、
人類の到達したもっとも偉大な教えといわれる仏教に、
私たちが生まれてから死ぬまでに果たさなければならない
本当の生きる目的、人間に生まれてよかったという
本当の幸せになれる道が明らかにされています。
ぜひその本当の幸せになるところまで
仏教をお聞き頂きたいと思います。