さて、前回は、西洋哲学では、
実は「生きる意味」は分からないということを
ご理解頂けたと思いますが、
次に、大学の授業では哲学よりずっと人気があった(笑)
心理学ではどうか見てみましょう。
心理学者といえば、人間の心の専門家です。
苦しみ悩むのは心ですから、
心理療法によって苦悩を解決し、
生きる意味に満ちた人生にしてくれるのではないでしょうか?
はたして生きる意味が分かるのか、
有名な心理学者に聞いてみましょう。
ジークムント・フロイト
心理学者といえばまず思い浮かぶのがこの人、
精神分析の創始者、フロイトです。
「フロイトさん、人生の目的は何ですか?」

これまでに何度となく人生の目的に対する問いが
問われてきたが、まだ満足できる回答を示した人はいない。(フロイト)

残念、フロイトも、人生の目的に関心を持ってはいたようですが、
やはり分からなかったようです。
アルフレッド・アドラー
 フロイトと並び称され、
「アドラー心理学(個人心理学)」を
創始した心理学者アルフレッド・アドラーは、
人生の意味の心理学』という本を著しました。
名前からしてそのものずばりですが、どうなのでしょうか。
読んでみると、なんとわずか3頁で

絶対的な人生の意味を持っている者は誰もいない。
(アドラー『人生の意味の心理学』)

と、はやくも人生の意味を正面から明らかにすることを
断念しています(笑)
ヴィクトール・フランクル
 ところが、このフロイトとアドラーの2人に学び、
人生に意味を見いだす「ロゴセラピー」を創始した
ヴィクトール・フランクルは
人生には無条件で意味がある」と唱えています。
この人は、アウシュビッツを捕虜として経験して書いた
『夜と霧』という本でも知られています。
フランクルの提唱する意味は、
「やり残した仕事」か、
「あなたを待っている誰か」
の2つです。
「えっ!?じゃあ私の生きる意味は何ですか?」
と聞くと、さしものフランクルも、こう言います。

ロゴセラピストといえども患者に、その意味が
いったい何であるのかを告げることはできない。
(フランクル『生きる意味を求めて』)

分かりやすくいうと、
「でもやっぱり分からないや」
ということみたいです(笑)
ミハイ・チクセントミハイ
もっと最近の有名な心理学者にも聞いてみましょう。
ハンガリー出身のアメリカの心理学者、チクセントミハイは、
時間を忘れて物事に熱中 する、フローの概念を提唱しました。
ところが、それによって一時的には意味を感じられても、
人生全体としては、何に熱中 すれば意味があるのかは分かりません。

我々に「ここに君が人生を捧げるに値する目標がある」
などと教える者はどこかにいるというわけではない。
(チクセントミハイ『フロー体験 喜びの現象学』)

このような、もっとも著名な心理学者たちでさえ、
生きる意味は分からないのです。
ちなみにフランクルは、
人が生きる最終目的も分からないと
またまた嘆いています。

人間はいかなる「最終目的」を彼の生命がもち、
いかなる「超意味」を世界全体がもっているかを
どうして知ることができようか。(フランクル『死と愛』)

できますよ。
本当の生きる目的を、
仏教では2600年前から明らかにされていますので。
 心理学者も哲学者も分からない本当の生きる目的を、
あなたはぜひ知って頂きたいと思います。